第196章 咲子のモッパン

「自分でも、どうしてこんなことをしてしまったのか分からない……いや、俺が欲深すぎたんでしょうね……!」

名医は震える声で言った。

「俺は貧しい家に生まれて、田舎から出てきた。必死に努力して、大病院の名医と呼ばれるまでになって……最後には社長付きの医者にまで上り詰めた」

「そのとき思ったんです。社長の病気が治ったら、俺は用済みになる。そうしたらまた病院に戻されて、あの雀の涙みたいな給料で働くことになる。ここの家みたいな恵まれた環境なんて、二度と手に入らない……」

名医は唇を噛み、視線を落とす。

「だから、ずっと社長の主治医でいたくて……社長の薬に、キョウチクトウの毒を混ぜてました」

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